まるめろ制作日記

秋も深まるある日のこと、くらむぼんギャラリーにお客様がお見えになりました。すぐ近くのレストランでお食事をされた帰りがてら、何気に見つけたくらむぼんに立ち寄ったというご夫妻でした。

ご自宅は徒歩でも30分ほどかかる場所にあり、気が向いてたまたま散歩でレストランに来られたとのことでした。

 

さて、ここからは少しダイナミックなお話が展開することになります。

 

その方は今オーナーとして高齢者施設を建設中で、施設内にアートギャラリーを作っていて、2日ほど前にそこにステンドグラスを設置したいとの思いに至ったそうです。すでに具体的なイメージはあるものの、仙台に来られてからまだ年月も浅く、工房探しにも難儀しそうな状況の中で、来た道を戻らず反対の方向に歩き始めたら、すぐそこにステンドグラス工房があったという展開になったわけです。

 

"こちらは本当にステンドグラスの工房ですよね??"

 

それは驚くことでしょう。2日前に構想したことが今、目の前で話が展開されようとしているのですから。これは何かのご縁があったのだと設置計画はトントン拍子に進むことになったのです。

 

オーナーとの綿密な打ち合わせから始まり、施設名でもある"まるめろの実"を大きく配置して、イメージを際立たせるため朝の空、夕方の空、山、平原がありそこに鳥やリスがいたり、桜が咲いていたり川が流れていたりします。特にまるめろの実が本物のようだと喜んでいただきました。

技法的には木の実をフュージング(ガラスを窯で溶かす技法)した以外は全体的にシンプルでオーソドックスな仕上がりです。

 

LED照明ボックス仕様のため、クリアなガラスは使えないのでガラス選びには神経を使いました。おかげであまり照明ボックスを感じさせない雰囲気を作り上げることができました。

 

さらにグランドピアノなどの設置でコンサートホールにも活用する計画もあり、施設内に暮らすご高齢者の方々にとっても、素敵な空間で恵まれた環境になるようです。

 

偶然な出会いというだけでは無い、何かのご縁を感じる嬉しい仕事になりました。

 

 

ラフスケッチ  オーナーとの綿密な打ち合わせでのスケッチ
ラフスケッチ  オーナーとの綿密な打ち合わせでのスケッチ
まるめろの実。10cmほどの大きさ
まるめろの実。10cmほどの大きさ
まるめろに似合うガラスを吟味しながらの進行
まるめろに似合うガラスを吟味しながらの進行
リスが可愛いと評判に。
リスが可愛いと評判に。

一部のガラスを残し削り完了
一部のガラスを残し削り完了
全体見ながら何か追加することを思いつく
全体見ながら何か追加することを思いつく

木の実を追加してみる。良い感じになってきた。
木の実を追加してみる。良い感じになってきた。